データの基礎
住んでいる市だけ見ても、地域医療が見えないことがある? 二次医療圏の読み方
住んでいる市の病院数だけでは、地域の医療提供体制が見えにくいことがあります。市区町村と二次医療圏の違いを、暮らしに近い場面から読み解きます。
引っ越し先を調べていて、住む市の病院や診療所を見ているとします。近くに施設が何件あるかは気になります。でも、少し離れた隣の市に、地域全体で使われる大きな病院があるかもしれません。
市の数字だけでは、周辺を含む医療のまとまりが見えにくい。そこで登場するのが「二次医療圏」です。これは市区町村の別名でも、受診先を指定する仕組みでもありません。医療提供体制を考えるための、もう一つの公式な地域単位です。
まず、市区町村の数字を見る
市区町村は、住民票や行政サービスなど、暮らしの基本となる自治体の単位です。医療まちスコープの自治体ページでは、その自治体に所在地がある医療施設や、自治体に結び付く各種の数字を確認できます。
たとえば「この市に病院はいくつあるか」「どんな施設が掲載されているか」を知りたいなら、自治体ページが入口になります。施設名や所在地をたどれるので、自分の街の医療を具体的に見るのにも向いています。
ただし、施設はその市の住民だけが使うものではありません。通勤先や隣接地域から通う人もいます。市境で医療の流れが止まるわけではないため、市の数字だけで地域全体の姿を言い切ることはできません。
二次医療圏は、自治体より広いことがある
二次医療圏は、都道府県が医療提供体制を考えるときに使う単位です。一つの医療圏に複数の市区町村が含まれることがあり、自治体の境界と一致するとは限りません。
ここで大切なのは、二次医療圏の数字を、含まれている各市区町村の数字だと思わないことです。医療圏全体の施設数や報告病床数が表示されていても、それを市ごとに均等に配った値ではありません。近いからといって、施設や病床を自治体へ推測配分しているわけでもありません。
医療まちスコープでは、厚生労働省・e-Statの公式対応表を使って、市区町村コードと二次医療圏コードを結び付けています。画面で見える「自治体」と「医療圏」は、似た地名を手がかりにした推測ではなく、別々の地理単位として扱われています。
二次医療圏を見ても、受診先が決まるわけではない
二次医療圏を知ると、「この範囲で必ず受診しなければならないのか」と思うかもしれません。そうではありません。二次医療圏は、医療提供体制を集計・検討するための地域単位です。
実際の受診先は、診療科、予約、受付条件、交通手段、施設の案内などによって変わります。医療圏の値だけから、医療の質、受診しやすさ、必要な医療が足りているかを決めることもできません。
二つのページを往復すると読みやすい
自分の街を調べるときは、自治体ページで所在地ベースの施設や自治体の数字を確認し、そこから二次医療圏ページへ移ってみると、見る範囲の違いが分かります。
数字を比べる前には、次の順番で確認します。
1. 市区町村か、二次医療圏か。 2. 施設数か、報告病床数か。 3. 対象時点と出典は同じか。
この三つを分けるだけで、「市に施設が少ないから地域の医療も少ない」といった短絡を避けやすくなります。医療まちスコープでは、市区町村を探すことも、二次医療圏を見ることもできます。自分の街の数字を、街だけの数字と周辺を含む数字に分けて見てみてください。
出典
対応表の基準時点や施設データの対象時点は、各ページの出典表示で確認できます。
出典
- 厚生労働省 / e-Stat: 令和6年医療施設(動態)調査 二次医療圏・市区町村編 N1 (対象時点: 2024-10-01)
- 厚生労働省 / e-Stat: 令和6年医療施設(動態)調査 二次医療圏・市区町村編 (対象時点: 2024)